2025 年の政府予算案が10月18日に発表されました。今回は、その中で税制改正の概要につい
てまとめます。
1.歳入増は税収増で賄う
24年の歳入は、前年より2.3%増加し3,221億リンギの着地予想となっています。これを受け、25 年の歳入は24年比5.5%増の3,397億リンギを見込んでいます。歳入は以前から、税収で賄えない部分を石油・ガス関連の国営会社からの配当などに依存していますが、非税収分野は減収予測となっており、下記のグラフからも分かるように、25年の歳入増加177億リンギは税収の増加分、主に法人税、個人所得税、SST (販売サービス税)の計170億リンギで賄うことを予定する内訳になっています。
2.課税ベースの拡大と徴税強化による税収増を目指す
歳入構成と主な税制改正は下記のとおりです。大幅な増税はない中で、どのように税収を増やすことを意図しているのでしょうか。
まず、政府は24年中にキャピタルゲイン税、e-invoiceの導入、SSTの税率改正および課税事業の拡大を行いましたが、これが25年の税収増に貢献すると予測しています。
個人所得税は、安定した給与水準の上昇を背景に、より多くの労働者が所得税を納める層に属し、かつ22年予算案で導入した18歳以上の全マレーシア人に対する納税者登録の義務付けが課税漏れの防止に貢献するとしています。
法人税は、安定した経済成長を背景に、企業収益の増加に伴う税収増、およびe-invoiceの導入が長期的に徴税強化に貢献するとしています。e-invoiceはその導入定着に向け、ICT機器、ソフトウエアの購入および開発に対する加速償却が継続しています。在宅勤務や介護手当に対する所得控除など、労働市場の変化をくみ取った提案も見られます。
SST については、必需品以外の物品や金融サービスなどに対する課税拡大や、車両販売台数の伸びが税収増の根拠となっています。
3.外国人への増税・負担増
24年には外国企業、外国人が資本金の20%以上を保有する企業に、法人税の軽減税率(15~
17%)の非適用、外国人のSocso(労災給付制度)加入義務、雇用パス手数料の増額など、マレーシアに居住する外国人、外国企業への増税・負担増が至るところで見られました。25年予算案でもガソリン補助金の外国人適用除外、外国人へのEPF(従業員積立基金)加入義務化が提案されています。中でも最低賃金の引き上げは外国人労働者を多く抱える企業には負担となることが予想され、このような外国人に対する負担増は、企業の駐在員、外国人労働者の雇用計画に影響することも懸念されます。
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