top of page

労働者からの苦情受付アプリ「Working For Workers (WFW)」

 人的資源省は、5月1日のメーデー(労働者の日)に「Working for Workers(WFW)」という労働者からの苦情受付アプリを導入しました。外国人労働者を含む1,570万人の労働者が、労務問題に関連する苦情を申し立てるためのオンラインプラッフォームであり、17種類の項目をアプリで報告することができるようになります。


 本アプリでは、労働者の身元に関する守秘義務を保証したうえで苦情をより手軽に提出することができ、国内にある80の労働局が提出された苦情を処理します。提出された苦情は3~7日で処理され、政府は本アプリに寄せられた労働問題の管理を透明性を持って行う、としています。苦情への処理過程はアプリでモニタリングすることができ、発生する労使間の問題に関して、労働者と雇用者および政府とのコミュニケーションを促進し、公平な意思決定につながるとしています。


 苦情の対象となる17のカテゴリーは次の通りです。

1. 無通知による解雇

2. 最低賃金に満たない給与の支給

3. 給与の支払い遅延

4. 年次有給休暇を与えない

5. 雇用契約を締結していない

6. 産休・育児休業を与えない

7. 残業代を適正に支払わない

8. 解雇手当の不払い

9. 祝日手当を与えない

10. 休日手当を与えない

11. 病気休暇を与えない

12. 外国人労働者の雇用に関する未報告

13. 2012年最低退職年齢法の不遵守

14. 1990年労働者住宅最低基準法の不遵守 read more.....

15. 給与からの違法な控除

16. 給与の未払い

17. 在宅勤務を許可しない


 本アプリは、GooglePlayまたはAppleのAppStoreからダウンロードでき、新規ユーザーは氏名、携帯番号、ID番号(MyKadまたはパスポート番号)、性別、国籍などの情報を登録します。また、雇用者の会社名、電話番号、勤務住所なども情報として提供する必要があります。


労働者からの苦情受付アプリ「Working For Workers (WFW)」
労働者からの苦情受付アプリ「Working For Workers (WFW)」

 政府発表によると、アプリの導入後7月1日時点で4,267件の苦情が受け付けられ、一番多かったのは在宅勤務を許可しないことに関する苦情で1,876件でした。次に多かったのが給与の未払い・遅延(1,013件)、給与からの違法な控除(308件)となっています。州別では、セランゴール州が最も多く(1,451件)、次いでクアラルンプール(1,007件)、ジョホール州(539件)。ペナン州(292件)となっています。【The Edge, 7/3】


 本アプリが今後、労使間の問題をどの程度効果的に解決していくのか、もしくは苦情の記録だけで終わるのかは現時点では判断できませんが、労使間の問題に関しては、政府は労働者寄りになる場合が多いため、企業は雇用関連法への遵守をさらに徹底していくことが求められます。





Comments


bottom of page