top of page

電子請求書制度(e-Invoice)のアップデート

電子請求書制度(e-Invoice)は今月から導入されましたが、先月税務当局は6カ月の猶予期間を設けると発表しました。猶予期間中には全ての取引について一括請求(consolidated e-Invoice)を認めるとしています。本ブログでは、猶予期間後においてもB2C取引などを中心に実務的に重要になると思われる一括請求を中心にe-Invoiceのアップデートについてまとめます。


1.6カ月の猶予期間


 e-Invoice の導入は、下記の図のように8月以降順次行われる予定で、今月から賦課年度22年の監査報告書の年間売上1億リンギ超の会社が導入することになります。

e-Invoice 導入スケジュール

 導入に向け、セミナーやインフラの整備が行われていますが、一方で、零細企業や個人事業主などが導入することに対する負担など、懸念の声も上がっていました。先月、税務当局は開始から6カ月の猶予期間を設けると発表し、猶予期間中は下記の要件を満たす限り、不遵守に対する訴追措置を行わないとしています。


  • 複数の請求を宛先ごとに一つにまとめる一括請求が可能

  • 「製品またはサービスの概要」の入力欄に、取引に関する説明を任意に入力可能

  • 買い手からe-Invoiceの発行依頼がある場合、売り手は各取引について電子インボイスを発行せずに一括請求のみを発行することが可能


 税務当局のプレスリリースによると、この猶予措置を利用せず期限内にe-Invoiceを導入した納税者は、2024から25年の賦課年度においてe-Invoiceに関する ICT機器およびソフトウェアの導入にかかるキャピタルアローワンス(税務上の減価償却費)を3年から2年に短縮する恩恵を受けることができるとしています。


2.一括請求(consolidated e-Invoice)とは


 e-Invoiceは、売り手が取引ごとにe-Invoiceを発行し、それを買い手が随時認証するシステムになっていますが、B2Cや海外向けの取引など買い手が税務上e-Invoiceを必要としない場合に取引時にはこれまでの請求方法で行い、その月の請求分をまとめて翌月の7日までにe-Invoiceに登録することを認めています。一括請求の場合は税務当局への登録のみで、買い手に発行する必要はありません。これはe-Invoiceの発行者の負担を軽減するために設けられた措置で、自動車販売、航空券の販売、建設業など一部の業種(現ガイドラインでは7業種)を除き認められています。

一括請求のサンプル(E-INVOICE SPECIFIC GUIDELINE (VERSION 3.0)より)

3.自社の現状を分析した導入を


 e-Invoiceが本格的に導入された後も、取引形態によっては一括請求方式が主となる納税者も一定数いるかと思います。会計記帳をアウトソーシングしている会社は、月中の取引は自社のインボイスを発行し、アウトソーシング会社が記帳を行う際にe-Invoiceに登録する状況も想定されます。いずれにせよ、e-Invoiceはまず顧客である買い手の要件を満たすことが優先されますので、個々の顧客の要件を見極めたうえで、費用対効果が最適となる方法を検討されてはいかがかと思います。

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page