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改正「1990年労働者住宅最低基準法」の概要

 労働者の宿舎設備について規定されている「1990年労働者住宅最低基準法(EMPLOYEES’ MINIMUM STANDARDS OF HOUSING, ACCOMMODATIONS AND AMENITIES ACT 1990)」が改正、昨年施行され、それを受けて人的資源省は取り締まりの強化を行っています。5月8日までに全国17,882社に立ち入り調査が行われ、規定を満たしていたのは約34%の6,069社で、残りの11,813社は要件を満たしておらず、うち悪質な違反者121件が起訴されました。216件には罰金が科されるとともに、46カ所の宿泊施設で労働者を転居させる指示が出されました。政府はコロナのクラスター発生源の一つとしての外国人労働者の住環境をあげており、取り締まりの強化は継続すると予想されます。


 今回は、改正「1990年労働者住宅最低基準法」の概要をまとめます。


改正法の対象者:

雇用者および宿泊施設を提供し監督する者(以下「対象者」という)


労働者:

雇用法が適用となる労働者(給与2,000リンギ以下)および外国人労働者


提供する住居は事前に政府の認可が必要:

対象者は、労働者に提供する住居について政府に申請し認可を取得しなければならない。これを怠った場合には、雇用者には50,000以の罰金を科され、宿泊施設提供者の場合は 50,000リンギ以下の罰金もしくは1年以下の懲役、またはその両方の責任を負う。


住宅とその施設の最低要件:

住居には、防火対策、性別による宿泊施設の分離、および感染症の蔓延の封じ込めに関連する要件を準拠することを義務付けている。これには、とりわけ寝室、キッチン、バスルーム、天井および換気のサイズと仕様に関する最低要件が含まれている。


外国人労働者の宿泊施設に関しては、別途ガイドラインでその最低要件が規定されている

  • 労働者1人あたり3平方メートル以上の睡眠または個人用のスペース

  • 労働者15人につき最低1つのトイレと1つの浴室

  • 共有することができないアイテムの提供(例:ベッド、マットレス、枕、ロッカー)

  • 共通スペースの提供(例:キッチンエリア、リビングルーム、トイレ、浴室)


家賃の給与からの控除は許可:

改正前は、家賃の控除については明記されていなかったが、本改正において雇用者は提供する住居に対する家賃を労働者から徴収することを許可している。以前は雇用法のもと、労働者から書面で要求された場合で、労働局長の書面による許可が得られた場合にのみ認められていた。


その他の要件:

  • 雇用者は、労働者が宿泊施設を占有してから30日以内に労働局に通知する

  • 対象者は、宿泊施設の責任者を任命する必要がある。責任者は、月に2回、宿泊施設を訪問して検査し、検査の記録を保管する。また、労働者が体調が悪いと思われる場合には医療機関を受診することを確認する


取締役等の責任範囲の拡大:

改正法は、会社とその取締役がこの法律に基づいて個別にまたは共同で起訴されることを可能にする規定を導入している。取締役は(i)本件起訴の内容が取締役の知らないうちに行われた、また(ii)取締役の同意なしに行われたこと、およびそのような違反を防ぐためにすべての合理的な措置を講じたことを証明できる場合にのみ抗弁することを認めている 。取締役は、会社が法律を厳格に遵守し、それをモニタリングするためのフレームワークを運用していることを保証する積極的な役割を果たすことが不可欠となる。






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