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マレーシアの源泉所得税アップデート

マレーシアの税制は、納税者が自ら納めるべき税金を計算し、申告、納税をする「申告納税制度」を基本としていますが、これと併せて、特定の所得については支払者がそれを支払う際に税金を源泉し、これを支払者側が税務署に納付する「源泉徴収制度」も採用しています。源泉徴収制度は税を先に徴収できるというメリットがあり、多くの国が同様の制度を活用しています。


1. マレーシアの源泉所得税(国外への支払い)

 マレーシアの納税者が国外に下記の支払いを行う際、支払者は下記のそれぞれの税率で所得税を差し引いて支払いを行い、徴収した税金を税務署に期日までに納付する義務があります。多くの国では、配当、支払利息、ロイヤリティの国外への支払いに対し源泉所得税を課していますが、マレーシアは配当の支払いについては0%としています。


 税率については、マレーシアが各国と締結する租税条約で軽減される場合があり、日本とマレーシアが締結する日馬租税条約では支払利息については15%から10%に軽減されるメリットがあります。軽減税率は自動的には適用されず、所得の受益者がその国の居住であるという証明(居住証明)を事前に入手したうえて適用する必要があります。

国外への支払いに対する源泉所得税
国外への支払いに対する源泉所得税

2. マレーシアの源泉所得税(国内の支払い)

 2021年予算で提案された新たな源泉徴収制度としては、企業が特定のマレーシア個人の代理人やディーラー、ディストリビューターに前課税年度において通年で10万リンギ超の支払いを行った場合、その支払いに対して2%の源泉徴収を課すこととし、今年1月より導入されています。


3. 源泉所得税の納付

 1および2に記載する源泉所得税は、その支払日もしくは費用の計上日から30日以内に納付する必要があり、仮に支払者が納付を怠った場合、支払者の確定申告においてその支払いは損金として認められず、また税額の10%のペナルティが課せられます。


 尚、2022年8月より、上記1の支払利息、ロイヤリティ、サービスの提供、動産のレンタルに対する源泉所得税で、取引ごとの源泉所得税が500リンギを超えない場合、都度の納付に代えて6ヶ月ごとに納付を行うことが可能です。これは納税の手間を省くために第三者機関が提案していたもので、6~11月に発生したものを12月末までに、12月~翌年5月までに発生したものを6月末までに納税することになります。



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