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雇用の終了に伴い支払われる一時金に関する税務

日ごろ多くお問い合わせをいただく項目の一つに、従業員の解雇や処遇など労務に関するご相談があります。今回は雇用の終了に伴い支払われる一時金に対する税金についてまとめます。


1. 雇用の終了に伴い支払われる一時金


 雇用の終了に伴う従業員への支払いには、退職金、解雇手当、見舞金、失業補償などがありますが、雇用終了時に支払われる一時金について、税務上は下記の2つの要素があるとしており、支払いの意図がどちらに帰属するかで税務上の取り扱いが異なります。


(a) 解雇など雇用の喪失に起因するもの(補償)

(b) 従業員の過去の勤務に起因するもの(退職金)


例えば従業員が整理解雇された場合、会社に退職給与規定等があれば、支給される一時金のうち退職給与規定に基づいて計算された額は(b)に該当し、それ以外の額を雇用の喪失にかかる補償と区分けする場合があります。また、(b)の過去の勤務に起因するものには、永年勤続に対する一時金も含まれます。


2. 雇用の喪失に起因する一時金の支払い


 解雇手当や失業補償など、従業員に対し雇用の喪失に起因する一時金が支給された場合、税務上の取り扱いは下記のとおりです。


a. 税務当局が病気等を理由とする雇用の終了と認める場合:全額免税

b. 同じ雇用者(または同じ企業グループ)に継続して雇用されていた場合:RM10,000 x 勤続年数の額を免税


整理解雇等で同じ企業グループ内の会社に再雇用されることが明らかな場合、免税は適用されません。


3. 過去の勤務に起因する一時金の支払い


 退職金など、従業員の過去の勤務に起因する一時金が支給された場合、税務上の取り扱いは下記のとおりです。


(1) 税務当局が健康上の理由による退職と認める場合:全額免税

(2) 同じ雇用者(または同じ企業グループ)に10年以上継続して雇用されていた従業員が定年退職に達した場合:全額免税

(3) 同じ雇用者(または同じ企業グループ)に10年未満継続して雇用されていた従業員が定年退職に達した場合:RM1,000 x 勤続年数の額を免税

(4) 有期雇用契約満了に基づく一時金::RM1,000 x 勤続年数の額を免税


定年退職後に一定期間再雇用となることもあるかと思いますが、その場合には定年退職時の一時金は(2)の適用を受け、再雇用後に再度退職する場合に支払われる一時金には(3)が適用されます。



従業員の雇用の終了については労務面に焦点が当たりがちですが、上記の税務上の取り扱いを含むタックスクリアランスを経た後に退職金等一時金を支払い、一連の流れが完結することになります。

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