2021年政府予算案が11月に発表されました。また、予算案に続き税制改正法案であるFinance Bill 2020が公表されています。今回はその中で、雇用関連の改正事項についてまとめます。
コロナ禍において、企業は従業員の賃金を上げられないもしくは解雇せざるを得ない、また中期的に外国人労働者からマレーシア人に切り替えなければならない状況に直面しているかと思います。今回の予算案は、このような状況に配慮したものが提案されています。
(1) 新規雇用に関するインセンティブ
既にコロナ禍の景気刺激策で行われている雇用に関するインセンティブが、下記のように強化されます。20億リンギの予算が割り当てられ、25万人の新規雇用を生むと試算されています。
(2) 失業者に対する措置
SOCSOが解雇者に対して拠出する失業給付(Job Search Allowance)が延長および強化されます。また、解雇手当の免税規定も2020年・2021年に限り、その免税枠が拡大されています。
(3) その他
EPF(従業員年金基金)の拠出率の引き下げ
コロナ禍の景気刺激策では、EPFの従業員負担部分の保険料率が、2020年4月から12 月までの間11%から7%に減額されていましたが、本予算案では、さらに2021年1月から12月までの12か月間、11%から9%に引き下げられます。
雇用が終了する場合の税務当局への通知義務
マレーシア現地法人との雇用が終了する際、現在は雇用が終了する日から1ヶ月前に書面による通知を税務当局に提出することとなっていますが、Finance Bill 2020において、「雇用が終了する30日前に、所定のフォーマットで提出する」ことが規定されました。現地法人での任期を終えて帰任される場合、「Form CP22A」を提出し、あわせてタックスクリアランスを行うことになります。
(4) 雇用パス申請時の求人広告要件
人的資源省は昨年10月、雇用パス等を申請する場合は事前に政府系求人サイト
<www.myfuturejobs.gov.my/>に同ポストでマレーシア人に向けた求人広告行い、応募がない場合に限り外国人の雇用パスを申請可能、と発表し混乱が起きていました。すでに公表されたFAQでは、この求人広告のプロセスが免除される場合について記載されており、経営幹部やキーポストで月給1万5千リンギ以上、駐在員事務所等の駐在員、30%以上の株式を保有する株主等、企業・グループ内の出向、現在の雇用パスの更新、プロフェッショナルビジットパス(出張者向けビザ)などは免除されることになっています。
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